◆レンジャーズのクリス・ウッドウォード監督
「僕は彼のファンだよ」
レンジャーズ対エンゼルスのテレビ中継で、レンジャーズのクリス・ウッドウォード監督が「大谷ファン」であることを告白しました。
なぜ、現在レンジャーズの監督を務めているウッドウォード監督は大谷選手のことをファンと公言したのでしょうか。テレビ中継の中で次のようにコメントしています。
「もちろん大谷は対戦相手だ。頑張ってほしくない。三振に打ち取りたいし、彼を打って得点したい。しかし、正直なところ僕は彼のファンなんだ。そして私の息子も、彼の大ファンなんだ。昨年、息子のために大谷がユニホームにサインをしてくれた時、息子はジャンプして大喜びだったよ」
なるほど納得ですよね。今や104年ぶりにMLBの歴史を塗り替えた大谷選手が、自分の息子のためにサインをしてくれるなんて、とても嬉しいことですよね。MLBのスーパースターがそうやってサインをしてくれるなんて、しかも大谷選手のことですから笑顔でサインを書いてくれたことでしょう。そんな誠実な対応をされたら好きにならざるを得ないですよね。
さらに選手としての大谷選手を次のようにコメントをしています。
「リーグで最も才能のある選手だ。監督としては、やっぱり大谷は嫌いだ。投げている時も打っている時も相手としては想像できないほど怖い。マウンドでは100マイル(約161キロ)の球を投げるし、打者としては470フィート(約143メートル)も飛ばす。頑張ってほしくない」
敵将らしく皮肉っぽい表現ですが、「監督としては嫌いだ」という言葉の裏を返せば「1人の野球ファンとしては大好きだ」と言っているようなもんですよね。いずれにしても相手監督に嫌われるということは、恐れられているということなので、これ以上ない最大級の賛辞を送っているように聞こえます。
最大級の賛辞といえば、7月29日に行われたレンジャーズ戦で大谷選手が2番DHで出場した試合前のインタビューで次のようなコメントをしています。
「彼が打席に立つのは好きじゃないよ。ポップフライでさえも危険だ」
本塁打のペースが昨年と比べて遅いですが、打席に立つたびに非常に大きな脅威だと思わせる大谷選手の凄さがわかりますね。
さらに7月28日に1番投手兼DHで出場した大谷選手について、AP通信のグレッグ・ビーチャム記者がウッドウォード監督のコメントを紹介しています。
「彼と対戦したくはない。満塁にしたら、彼はギアを1段階上げた」
「スライダーはウィッフルボールのようだ。それでも2得点できたのは幸運だった。彼を倒すのは難しい。だから、我々はよくやったんだ」
ウィッフルボールとはアメリカで親しまれている、プラスチックのでできた穴あきボールで、投げると魔球のように変化するボールのことを指します。プラスチック製でとても軽いので、ウッドウォード監督が言うように通常の硬式ボールではあり得ないような変化をするため、なかなか打つことができません。
大谷選手のスライダーは、まるでウィッフルボールのように次元を超えた曲がりかたをしているので、メジャーのバッターでさえもバットに当てることが難しいのだと言います。ウッドウォード監督が言っているように2得点できることさえ難しく、それほどスライダーの威力がスゴイと思ってしまいます。
◆レイズのケビン・キャッシュ監督
「対戦できたことは感謝に値するかもね」
5月9日のレイズ戦に「3番・DH」で先発出場した大谷選手。
この日は2本のホームランを含む3安打5打点と大活躍しました。
ちなみにこの時期のエンゼルスは、マドン監督の指揮のもと首位争いをしており、チームにも非常に勢いがありました。まるで何年も前のことを話しているような気分になりますが、今シーズンの序盤は首位に立っており「今年はエンゼルス違うな!このまま行けばプレーオフ進出もあり得るぞ!」というイケイケの状態になっています。
さてそんな中でのエンゼルス対レイズだったのですが、レイズの先発は、なんとメジャー初登板のフォーチャー投手でした。その中で大谷選手の2ホーマーを含む、11得点と大量得点を奪い11ー3で大勝しています。試合後のインタビューで、キャッシュ監督はフォーチャー投手をかばい、エンゼルス打線について次のようにコメントしています。
「初登板であのエンゼルスの強打者たちを迎えるのは理想的ではないよね。素晴らしい打者たちだ。先発したフォーチャーは、後で振り返るとマイク・トラウトやショウヘイ・オオタニといった強打者と対戦できたことは感謝に値するかもね。これから強くなるよ」
エンゼルス打線を抑えることではなく、メジャー初登板の自軍の投手にMLBの洗礼をしてくれてありがとうと言っているようにも聞こえます。
そもそもケビン・キャッシュ監督は、先発投手が降板後にDHとして残れる「大谷ルール」を提案し、実現に尽力した張本人だったのです。
今となっては大谷選手を覚醒させるルールとなったので「大谷ルールを作ったのは間違いだった」とジョークを交え語っていました。本音ではもちろん大賛成だったようで、次のように語っています。
「大谷ルールを作ったのは、当時はみんなが野球界にとって本当にいいことだと思ったのではないか。彼は野球界の話題でトップだった。彼はMVPになったし、彼の両方の活躍を見たいと思うファンがたくさんいた。これが許されて良かったと思う」
大谷選手しか通用しないルールを敵将がつくったことに驚きました。ファンはもちろんのこと監督でさえリアル二刀流を見てみたいと思わせる大谷選手。
我々が見ている光景は、当たり前ではなく貴重であることを再認識させられますね。