「オオタニ、半端ないって!!!」
そう語る、アメリカの投球分析家がいました。本業は弁護士でありながら、趣味としてメジャーリーガーのピッチングを研究するようになったのだそうです。
彼の名はピッチング・ニンジャ。FOX スポーツのピッチングアナリストとしても活動するまでに実力が認められた彼は、大谷ファンなら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
本業は弁護士でありながら、MLBの投手を独自の分析技術「オーバーレイ」を使ってTwitterやYouTubeで紹介しています。
さて、9月12日時点で12勝を挙げてMVPの候補に名前が上がっている大谷選手ですが、MVPに輝いた2021年よりもピッチングの精度は明らかに増しています。今シーズンは25試合に登板して12勝8敗、防御率は2.55と圧巻の成績を残しています。8敗というのが少し残念ですが、勝てないエンゼルスに居てしっかりと勝ち星を挙げられているのが逆にすごいところだと思います。解説者の方達はこぞって「他のチームにいたら15勝はできていた」と語ります。
実際、大谷選手への1試合でもらえる平均援護点は9月11日時点で3.61。防御率を考えれば十分に見えますが、「打者・大谷」の自援護があるからこその数字です。チームの1試合平均得点が3.81ですので、他の投手より援護点は少ないといえます。ちなみに、エンゼルスの1試合平均得点はア・リーグ全15チーム中14位。大谷選手が「他のチームにいたら15勝はできていた」は誇張でもなんでもありません。
そんな苦しい状況でも、大谷選手は自分を高めることに余念がありません。それを先ほど紹介した「オーバーレイ」で分析しているのがピッチングニンジャなのです。
彼は9月4日のアストロズ戦で大谷選手が投げた100マイルの高速シンカーについても詳細に解説しています。
「すでに圧倒的な投手として、優れたシーズンを送っていたのだから(シンカーが)必要だったわけではない。通常、新しい球種を完成させるのにオフシーズンまで待つが、オオタニはシーズン真っ只中にシンカーを追加した」
このように語り、大谷選手が他の投手たちとは違う、その異彩ぶりを説明しました。
これにはネット上でファンからも、
「これ投げ始めたの2週間前とかだぜ」
「100マイルの変化球とか誰が打てんねん」
「100マイルのシンカーとか可能なの? 凶悪すぎる」
と驚きの声が溢れていました。
先月から登場したシンカーはヤンキースのクレイ・ホームズ投手を参考にしていると思われ、この変化球を「ターボ・シンカー」と呼んでいます。初期のシンカーは97マイルで、ツーシームと比較すると水平に30cmの変化をしています。これはこれで十分な変化です。メジャーリーグで使用するバットの直系が7cm以下と定められているので、バット4本分以上の変化です。
しかし、100マイルのシンカーは球速が上昇していながら水平に53cmの変化をする変化球としています。より速く、より強力に曲がる変化球に進化したのです。これらをピッチングニンジャは「オーバーレイ」を利用した比較で明らかにしています。
シーズン中でしかも登板がない日には打者として出場している大谷選手のどこにそんな時間があるというのでしょうか。そもそも6月時点のインタビューでは大谷選手は「シンカーは投げたことがない」と語っていましたが、現在はシンカーを有効に使っているのです。打者として打席に立っていたからこそ、高速シンカーの脅威に驚き、それを自分でも使ってみようと思ったのでしょうが、試合で使えるほどに完成させるまでにたった1ヶ月しかかからないなんて化け物です。これにはピッチングニンジャもニッコリして次のように語っています。
「つまり、オオタニはシーズン途中にシンカーを加えただけでなく、まさに素晴らしい投球を追加してみせたのだ。これはまさに伝説的なもので、オオタニは超人的な身体的才能を持っているだけでなく、望めばいつでも投げる球種を変えられるのだと証明している。この超人的な男が次にどんなことを仕掛けてくるのか待ち遠しい」
ピッチングニンジャはこうした科学的で視覚化された分析を得意とし、メジャーの一流選手の凄さを私たち野球ファンに伝えてくれています。その分析をしてきたピッチングニンジャは明確に、大谷選手が異次元の存在であることを示しているのです。
今回の動画では、ピッチングニンジャによる高い技術を基にした分析を通じて、大谷選手のすごさを紹介していきます。